インターハイと国スポを制し、3冠を目指していた優勝候補筆頭の鎮西高校。
初戦の愛工大名電戦でフルセットとなり、不安定な立ち上がりとなったが
準々決勝の東山との試合はどのような対策を取られていたのか、
負けた要因はどのあたりにあったのか分析してみた。
なお、使っている数字は自らとったものであり、あくまで参考程度で見て頂きたい。
試合スタッツ

まず始めは試合のスタッツを見て頂きたい。
奇しくもOPである斎藤君と岩下君のスタッツは似たような数字。
岩田君vs一ノ瀬君は決定率を見ると岩田君に軍配が上がった。
やはりマークが厳しかった一ノ瀬君は被ブロック数が多くなった。
大きく差がついたのはMB。
鎮西は単純にクイックの打数が少なかった。
サイドアウト率は東山が約71%に対し、鎮西は約58%。
ブレイク率は東山が約26%に対し、鎮西は約20%だった。
東山の戦術
徹底した一ノ瀬包囲網
徹底してサーブターゲットは一ノ瀬君。
特にS1はコート9番付近でレセプションさせることによって
時間差攻撃への参加を遅らせることが上手くいっていたように思う。
↓コート9番でレセプションするシーン

また、S5かS4で一ノ瀬君がコート8番付近でレセプションされることによって
バックアタックへの参加を難しくさせることが出来ていた。(途中からリベロがフォローに入ってたけど)
一ノ瀬君はオーバーハンドでレセプションすることが多いため
結局前目で受けることも多くなり、気付かないうちにバックアタックを打つことへのストレスがかかっていた。
コート8番でレセプションし、バックステップしてから
バックアタックを打つのは想像するだけでもけっこう大変。
↓レセプションしてからバックステップして助走に入る

特にこういったシチュエーション、
打数の多いエースがコート中央でレセプションする陣形だと
8番付近にショートサーブを打つのはなかなかうまみがある。
MBが取ってくれてもおいしいし、エースが取ってくれてもおいしい。
リベロがフォローに来るようであれば、この場合だと1番方向に狙いを切りかえてもおいしい。
鎮西高校のレセプション総数48本のうち、一ノ瀬君のレセプション数は27本。
半数以上を集めることに成功したが
レセプション成功率89%とずば抜けた安定感が際立った。
決して東山のサーブが弱かったわけではないからね!
コートポジションについては↓のサイトをご参考に
https://blog.hono-office.com/2021/09/26/904/
セッターのブロックチェンジ
両チームのセッターが前衛のとき、すなわち一ノ瀬君が前衛の時に
東山のセッターがライト側のブロック位置に移動することで
一ノ瀬君(レフト側)へのブロックを厚くした。
↓山上君(身長173cm)がライト側に移動しているシーン

必然的にOP岩下君へのマークが薄まることになるのだが
岩下君のライトバックアタックはストレートコースへ打つことが多いため
リベロの辻本君がそのコースに入って何本か綺麗にディグを上げていた。
岩下選手のバックアタック本数は7本で決定数3本、決定率43%で効果率29%だった。
ノーブロックになるケースも何回かあり、数字上見れば悪くない決定率だったから
もっと多用すれば良かったのになあという結果論。
国スポを見ていないのだが、岩下君がいまいちだったというのをちらっと何かで見たので
セッターの優先順位が落ちてしまったのかもしれない。
エース頼みにならないトスワーク
結果的に見ればエース二人の打数は岩田:46と一ノ瀬:47でほとんど一緒ではあるが
要所要所でMBのBクイックが使えていたし、それが決まっていたことが非常に大きかった。
特に第2セット序盤の東山1回目のTO。
[東山3:6鎮西]TO前のラリーで、エースの打ち合いがヒートアップしまくっていて
憶測だが、セッターに対してコーチから熱くなるなという指示があったのではないだろうか。
※2本くらいトスが合わなかったので、そのことを言われていたかも?
↓第2セットTO1回目の様子(コーチからセッターに何かを伝えている)

TO明けのサイドアウトはBクイックを綺麗にターン方向へ決めていた。
やはりクイックでサイドアウトを取れるのは非常に大きい。
ここが東山の強さだったに違いない。
バンチリードブロックの練度
鎮西前衛3枚時のバンチリードはかなり練度が高かった。
特に平川君の打数が非常に少ないため
両サイドをケアしつつ、一ノ瀬君のバックアタックに対しては3枚ブロック。
↓バックアタックに対する3枚ブロック

トランジションでも中央のバックアタックが多かったが、常に3枚ブロックで対応。
相当ブロック練習をしてきたなという印象だった。
この状況で決め切っていた一ノ瀬君もすごいけどね…
鎮西の負けた要因3選
リスクの全集中
鎮西と言えばカリスマ性を持ち、世代を象徴するようなエースに頼るバレー。
「エースバレー」というのは、聞こえはいいがかなりリスキーでもある。
エースの調子が悪かったら終わり。
特に一ノ瀬君はレセプションの軸であり、前衛でも後衛でも打ちまくっていた。
インターハイでは割とトスが分散されていたように思えたが、
国スポで変わってしまったのだろうか。
トスワークは投資と同じかもしれない。
投資は分散が基本であり、集中投資はかなりリスクが高い。
大石君は打数4で決定率100%だったし、もっと3年生(西原君、岩下君、大石君)に頼っても良かったと思う。

全中選抜の持ち腐れ
やはり1番の問題だったのは平川君の扱いだろう。
この試合に限って言えば平川君の打数はわずか2本。
MBといえど極端に少なく、セットポジションで打ったのはたった1本だけ。
正直言っちゃえばMBの適正はないと思うけど、
邪推してしまえば他に活用できるところがなかったのかなという印象。
それにしても、明らかに打つ気のないクイックに入るんだったら
セミとか打ってたほうが良くねー?と思った。
バックアタックの邪魔になるとかの話なら
Bクイックとセミの間くらいのふわっとしたトスを打つとかもっとやれることはあったと思う。
マンツーマンコミットブロックの限界
昨今、高校生でも前衛3枚+バックアタックという攻撃を仕掛けてくる高校が増えていて
それに時間差攻撃が加わってくるとなるとマンツーマンで対応していくのは限界がある。
鎮西には身長が高い選手も多く、運動能力も高いから
リードブロックなんてすぐに習得できそうだけどなあ。
以前と比べたらリードブロックをしつつあるようにも思うけど…
ブロックシステムの解説についてはこちら:https://www.svleague.jp/ja/v_men/topics/detail/21583
最後に
一ノ瀬君クラスのOHを擁していても
春高となるとエース頼みのバレーではもう勝てないということが証明されてしまった。
インターハイや国スポのように組織として完成度がまだ高くない時期であれば
個人能力全開のバレーでも勝てるかもしれないが
組織力がないと勝てない競技大会となってしまった。
負けた後に一ノ瀬君が責められる場面が見られたが
いやいや、そこじゃないだろうと思ってしまった。
それにしても辻本君はうまかったな~
1年生っぽさもあったが、1年生とは思えない技術の高さだった。
強打に対するレシーブセンスはずば抜けている。
辻本君は今後も要チェックや!
p.s. 東山って北信越出身の選手多いよね。

コメント